プロローグ
どうも、安田です。
ここ数ヶ月そもそも数学をする時間がなくて、当然記事も書けていませんでしたので、久しぶりの記事です。
最近ちょっと数列$Y$について考えていたのですが、その時に連立差分方程式を母関数を使って解けないかな、という試みをしていました。
ここで、畳み込みの計算が必要そうなので、うまい具合に差分方程式から計算できないかなと考えていたところ、面白い等式を発見しました。
その前にまずは定義をしておきます。
差分も同様に$\Delta_n a_n = a_{n+1} - a_n, {\Delta_n a_n}^m := \Delta_n \left({\Delta_n}^{m-1} a_n\right)$で定義される。
また、$n > m$に対しては, \[ \sum_{k = n}^m a_k = 0 \] とする。
下の添字は省いたり、$\Delta_n a_n |_{n = 1}$を$\Delta a_1$と書いたりします。
和分差分でわからない点があったら、こちらの記事に一応多少載っています
ので、そちらを参照してください。
そして本題の等式は次の通りです。
任意の数列$(p_n), (q_n)$に対して, \[ \left. \sum_{k} p_k q_{n-k} \right|_{k = n} = \sum_{m = 1}^{\infty}\left({\sum_n}^m q_n \right) \Delta^{m - 1} p_1 \] が成立する。
無限級数のように見えますが、実際は有限な$n$に対して$m = n$あたりで和分が$0$になるので、途中で終了します。私はこれを畳み込み級数と呼ぶことにします。
今回はこの証明と応用について書いていきます。
証明
早速証明に入ります。思いついてしまえばまあ簡単な証明です。
あとは繰り返せば良いのでほぼ証明完了ですが、一応ここも和分差分学っぽく証明しておきます。
$m$階和分や$m$階差分の性質を調べる時にあらかじめ帰納法を肩代わりしてくれているので、綺麗な証明になるのだと思います。 やはり和分差分は魅力的ですね。
応用
今のところ2つほどとても有用そうな応用方法があるので、紹介していきます。
$m$階和分の計算
$m$階和分というのは、$m$階差分のように簡単に計算できるものではありません。(まあちょっと頑張れば発見できますが、差分よりだいぶ面倒だと思います。) 後で使うので紹介しておきますが、
という関係式が存在しています。証明は帰納法でできます。(余談ですが、最近${}_m \mathrm{C}_k$から$\dbinom{m}{k}$の記法に修正しています。) ではこれに対して、$\displaystyle {\sum_{n}}^m a_n$はどのように計算できるでしょうか?
その疑問を解決するために、今回の定理が非常に役立ちます。右辺を見ると、ご丁寧に各項の係数が$m$階和分になってくれています。 そういうわけで、$\Delta^{m - 1} p_1 = 1, \Delta^{k - 1} p_1 = 0 \ (k \neq m)$という数列を考えます。 これを先ほど紹介した関係式に代入すれば \[ p_n = \left\{\begin{aligned} &0, &&(n \lt m) \\ &\dbinom{n - 1}{m - 1}, && (n \geq m) \end{aligned}\right. \] ということが分かるので、あとは畳み込みに代入すれば良いです。畳み込み級数の左辺の$p, q$は入れ替えても問題ないことが簡単に分かるので、
とわかります。このように、$m$階和分の計算方法を求めることができました。
高階和分を用いた等式
$m$階和分の計算方法について考えた後に思うことですが、$p, q$を入れ替えても問題ないので、さらに畳み込み級数を用いれば面白い等式が得られそうです。 つまり、
という等式に色々代入してみて考えるわけです。こちらについてはまだ良い成果が出ていない(というか、導出した式が自明であることに書きながら気付いた)ので、 また思いついたら記事にします。
今回は以上です。それでは、お疲れ様でした。

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