【数列Y番外編】分数化による漸化式の解法と応用 p2

更新日時:2020/10/11

数学数列数列Y番外編

GOODされた数:48 回

プロローグ

どうも、安田です。
この記事は前回記事の続きです。是非そちらも閲覧してくださると嬉しいです。何よりも、前回記事を読んだほうが理解が深まるかと思います。
前回記事:【数列Y番外編】分数化による漸化式の解法と応用 p1

考察

分数化の一般化

前回記事で例として分数化で解く方法を示しましたが、そのような分数化で解ける漸化式を一般化したいと思います。
適当な数列を分数化して、解ける形の漸化式を発見するという方法を取ります。

\begin{equation} a_n = \frac{w_n}{v_n} \end{equation} とする。

ここで、$\{v_n\}, \{w_n\}$ について以下のような漸化式が成り立つ時を考えます。

\begin{equation} w_{n+1} \pm \alpha v_{n+1} = \displaystyle \left( w_n \pm \alpha v_n \right)^{f(n)} \tag{1} \end{equation} すなわち \begin{equation} w_{n+1} \pm \alpha v_{n+1} = \displaystyle \sum_{k=0}^{f(n)} {}_{f(n)} \mathrm{C}_k \cdot (w_{n})^{f(n)-k} (\pm \alpha v_n)^k \end{equation}

この時、符号に左右される項とされない項から、$v_{n+1}, w_{n+1}$の漸化式に分けます。符号に左右される項は$v_{n+1}$で、符号に左右されない項は$w_{n+1}$ですので、これらを考慮して漸化式を分割します。

\begin{equation} \begin{cases} w_{n+1} = \displaystyle \sum_{k=1}^{\lfloor \frac{1}{2} f(n) \rfloor} {}_{f(n)} \mathrm{C}_{2k} \cdot (w_{n})^{f(n)-2k} (\alpha v_n)^{2k} \\ \alpha v_{n+1} = \displaystyle \sum_{k=1}^{\lfloor \frac{1}{2} (f(n)-1) \rfloor} {}_{f(n)} \mathrm{C}_{2k+1} \cdot (w_{n})^{f(n)-2k-1} (\alpha v_n)^{2k+1} \end{cases} \end{equation}

ここから、$\{a_n\}$の漸化式へと一気に変形します。

\begin{eqnarray*} \frac{w_{n+1}}{\alpha v_{n+1}} &=& \frac{\displaystyle \sum_{k=1}^{\lfloor \frac{1}{2} f(n) \rfloor} {}_{f(n)} \mathrm{C}_{2k} \cdot (w_{n})^{f(n)-2k} (\alpha v_n)^{2k}}{\displaystyle \sum_{k=1}^{\lfloor \frac{1}{2} (f(n)-1) \rfloor} {}_{f(n)} \mathrm{C}_{2k+1} \cdot (w_{n})^{f(n)-2k-1} (\alpha v_n)^{2k+1}} \\ \frac{w_{n+1}}{v_{n+1}} &=& \alpha \frac{\displaystyle \sum_{k=1}^{\lfloor \frac{1}{2} f(n) \rfloor} {}_{f(n)} \mathrm{C}_{2k} \cdot \alpha^{2k} \left( \frac{w_n}{v_n} \right)^{f(n)-2k}}{\displaystyle \sum_{k=1}^{\lfloor \frac{1}{2} (f(n)-1) \rfloor} {}_{f(n)} \mathrm{C}_{2k+1} \cdot \alpha^{2k+1} \left(\frac{w_n}{v_n}\right)^{f(n)-2k-1}} \\ a_{n+1} &=& \frac{\displaystyle \sum_{k=1}^{\lfloor \frac{1}{2} f(n) \rfloor} {}_{f(n)} \mathrm{C}_{2k} \cdot \alpha^{2k+1} \left(a_n\right)^{f(n)-2k} }{\displaystyle \sum_{k=1}^{\lfloor \frac{1}{2} (f(n)-1) \rfloor} {}_{f(n)} \mathrm{C}_{2k+1} \cdot \alpha^{2k+1} \left(a_n\right)^{f(n)-2k-1}} \tag{2} \end{eqnarray*}

つまり、(2)式を漸化式に持つ数列$\{a_n\}$について

\begin{equation} \begin{cases} a_n = \frac{w_n}{v_n} \\ w_1 = a_1, v_1 = 1 \end{cases} \end{equation}

と分数化すると(1)式を満たしますので、以下のように解く事が出来ます。

(1)式より
\begin{eqnarray*} w_n \pm \alpha v_n &=& (w_1 \pm \alpha v_1)^{\prod_{k=1}^{n-1}f(k)} \\ &=& (a_1 \pm \alpha)^{\prod_{k=1}^{n-1} f(k)} \end{eqnarray*} +の場合と-の場合の和と差を取ると \begin{equation} \begin{cases} 2w_n = (a_1 + \alpha)^{\prod_{k=1}^{n-1} f(k)} + (a_1 - \alpha)^{\prod_{k=1}^{n-1} f(k)} \\ 2\alpha v_n = (a_1 + \alpha)^{\prod_{k=1}^{n-1} f(k)} - (a_1 - \alpha)^{\prod_{k=1}^{n-1} f(k)} \end{cases} \end{equation} すなわち \begin{equation} \begin{cases} w_n = \frac{1}{2} \left( (a_1 + \alpha)^{\prod_{k=1}^{n-1} f(k)} + (a_1 - \alpha)^{\prod_{k=1}^{n-1} f(k)} \right) \\ v_n = \frac{1}{2\alpha} \left( (a_1 + \alpha)^{\prod_{k=1}^{n-1} f(k)} - (a_1 - \alpha)^{\prod_{k=1}^{n-1} f(k)} \right) \end{cases} \end{equation} である。ゆえに分数化の定義から \begin{equation} a_n = \alpha \displaystyle \frac{(a_1 + \alpha)^{\prod_{k=1}^{n-1} f(k)} + (a_1 - \alpha)^{\prod_{k=1}^{n-1} f(k)}}{(a_1 + \alpha)^{\prod_{k=1}^{n-1} f(k)} - (a_1 - \alpha)^{\prod_{k=1}^{n-1} f(k)}} \end{equation} である。

分数化はこのように一般化する事ができます。

分数化の応用

分数化の一般化とその漸化式から、恒等式を得る事が出来ます。これは全ての数列について使える手法なので、是非他の数列でも試してみてください。

まず、漸化式を簡単な形に変形する。(2)式 \begin{equation} a_{n+1} = \frac{\displaystyle \sum_{k=1}^{\lfloor \frac{1}{2} f(n) \rfloor} {}_{f(n)} \mathrm{C}_{2k} \cdot \alpha^{2k+1} \left(a_n\right)^{f(n)-2k} }{\displaystyle \sum_{k=1}^{\lfloor \frac{1}{2} (f(n)-1) \rfloor} {}_{f(n)} \mathrm{C}_{2k+1} \cdot \alpha^{2k+1} \left(a_n\right)^{f(n)-2k-1}} \end{equation} から、 \begin{eqnarray*} &a_{n+1}& \displaystyle \sum_{k=1}^{\lfloor \frac{1}{2} (f(n)-1) \rfloor} {}_{f(n)} \mathrm{C}_{2k+1} \cdot \alpha^{2k+1} \left(a_n\right)^{f(n)-2k-1} \\ &=& \alpha \displaystyle \sum_{k=1}^{\lfloor \frac{1}{2} f(n) \rfloor} {}_{f(n)} \mathrm{C}_{2k} \cdot \alpha^{2k} \left(a_n\right)^{f(n)-2k} \end{eqnarray*} ここで、 \begin{equation} \begin{cases} A = (a_1 + \alpha)^{\prod_{k=1}^{n-1} f(k)} \\ B = (a_1 - \alpha)^{\prod_{k=1}^{n-1} f(k)} \\ N = f(n) \end{cases} \end{equation} とすると \begin{equation} \begin{cases} a_{n+1} = \alpha \frac{A^N + B^N}{A^N - B^N} \\ a_n = \alpha \frac{A + B}{A - B} \end{cases} \end{equation} であるので、整理した漸化式に代入して、 \begin{eqnarray*} &\alpha& \frac{A^N + B^N}{A^N - B^N} \sum_{k=0}^{\lfloor \frac{1}{2}(N - 1) \rfloor} {}_{N}\mathrm{C}_{N-2k-1} \left(\alpha \frac{A + B}{A - B} \right)^{N-2k-1} \alpha^{2k+1} \\ = &\alpha& \displaystyle \sum_{k=0}^{\lfloor \frac{1}{2}N \rfloor} {}_{N}\mathrm{C}_{N-2k} \left(\frac{A + B}{A - B} \right)^{N-2k} \alpha^{2k} \end{eqnarray*} 式を整理して \begin{eqnarray*} &&\left( A^N + B^N \right)\sum_{k=0}^{\lfloor \frac{1}{2}(N - 1) \rfloor} {}_{N}\mathrm{C}_{N-2k-1} \left(\frac{A + B}{A - B} \right)^{N-2k-1} \\ &=& \left( A^N - B^N \right) \displaystyle \sum_{k=0}^{\lfloor \frac{1}{2}N \rfloor} {}_{N}\mathrm{C}_{N-2k} \left(\frac{A + B}{A - B} \right)^{N-2k} \end{eqnarray*} である。

このように恒等式を求める事が出来ます。見やすくするためにもう一度記します。

\begin{equation} \left( A^N + B^N \right)\sum_{k=0}^{\lfloor \frac{1}{2}(N - 1) \rfloor} {}_{N}\mathrm{C}_{N-2k-1} \left(\frac{A + B}{A - B} \right)^{N-2k-1} = \left( A^N - B^N \right) \displaystyle \sum_{k=0}^{\lfloor \frac{1}{2}N \rfloor} {}_{N}\mathrm{C}_{N-2k} \left(\frac{A + B}{A - B} \right)^{N-2k} \end{equation}

以上が分数化の応用事項でした。

分数化は今の所は多項式分の多項式の形を取るでしか利用出来ていませんが、他の使い方はまだ発見されていないだけですので、発見次第また紹介しようかなと思います。
それでは、お疲れさまでした。

次回記事

前回記事は以下のリンクから飛べます。
前回記事 次回記事は投稿され次第下のリンクからアクセスできます。(本記事投稿時点では未定) 次回記事

この記事いいね!


コメント送信フォームまで飛ぶ

この記事には0件のコメントがあります。


変換


※上の変換器は、TeXが正しいかどうかの確認に使ってください。
※TeXを入力する場合は、コメント本文に、$\$$ または、$\verb|\|$[, $\verb|\|$]で囲った中にTeX表示をそのまま挿入してください。
※URLは、自動的にハイパーリンクに変形されます。
※他のコメントに返信する場合は、「#コメント番号」を挿入してください。
※日本語を含まないコメントはスパムと認定されます。
※Comment including no japanese will be regarded as spam.