2種のグラフの回転法とその真実

更新日時:2020/12/30

数学グラフ関数

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前置き

プロローグ

どうも、安田です。
今回は、グラフの回転について昔研究したので、ここにまとめておきます。私は結構気に入っています。
なお、今回の回転は原点中心の回転の事を表しているので、あらかじめご了承ください。

先に定義しておく事

後で書くより先に書いておいた方が良いので、いくつかの定義を下に示しておきます。

回転させる前の関数: \[ y=f(x) \] $\theta$ だけ回転させた後の関数: \[ y=f_{\theta}(x) \] 補助用の関数: \[ R_{\theta}(x) = x\cos\theta - f(x)\sin\theta \]

グラフの回転

媒介変数表示

まずはメジャーな考え方である媒介変数表示により求めてみます。まず、ある点 $(x,y)$ を $\theta$ だけ回転させた点 $(X, Y)$ を求めます。

複素数平面において $x+yi$ を $\theta$ だけ回転させると、 \begin{eqnarray*} X+Yi &=& (x+yi)(\cos\theta + i\sin\theta) \\ &=& (x\cos\theta - y\sin\theta) + (x\sin\theta + y\cos\theta)i \end{eqnarray*} よって \begin{equation} \begin{cases} X = x\cos\theta - y\sin\theta \\ Y = x\sin\theta + y\cos\theta \end{cases} \end{equation} ここで、$y=f(x), Y=f_{\theta}(X)$ とすると、 \[ X = R_{\theta}(x) \] より、 \[ f_{\theta}(R_{\theta}(x)) = x\sin\theta + f(x)\cos\theta \] すなわち \[ f_{\theta}(x) = R_{\theta}^{-1}(x)\sin\theta + f(R_{\theta}^{-1}(x))\cos\theta \] である。

このように求まりました。これにより、$y=x^2$ を $\frac{\pi}{6}$ だけ回転したグラフは以下の通りです。

(紫は元の関数、赤は回転後)

積分の利用

次は先ほどの求め方よりもロマン溢れる方法で求めます。これの面白い所は、違う解が出る点です。
まずは、今回の解法のイメージ図です。
画像が表示できません
この画像がないと理解が難しい(というより私が説明しきれない)ので、この画像を時々見ながら読んでいただくと良いです
続いて状況設定をします。

まず、回転後の軸を回転前のグラフで考える。これは、$x$軸を $-\theta$ だけ回転させた直線であるので、この直線を $l$ とすると \[ l:\ y=-x\tan\theta \] である。ここで、ある2点の$x$座標を $a, b(a < b)$ とする。さらに、$(a, f(a)), (b, f(b))$ から $l$ に引いた垂線の足の原点からの距離をそれぞれ $s,t$ とする。 また、$(a, f(a))$ から $l$ に引いた垂線と $l$ と $x=a$ に囲まれた三角形の面積を $\Delta A$、$(b, f(b))$ から $l$ に引いた垂線と $l$ と $x=b$ に囲まれた三角形の面積を $\Delta B$ とする。

以上が状況設定です。分からなかったら、先ほどの画像を参照して下さい。なお画像では、$\Delta A, \Delta B$ はそれぞれ青い線と赤い線、青い線と緑の線、で囲まれた三角形の面積となります。

ここからが本題です。この設定から、$f_{\theta}(x)$ の $x=s$ から $x=t$ までの積分値を求め、それを微分する事で $f_{\theta}(x)$ を求めます。
第一段階として $s,t$ と $a,b$ の関係を求めます。

まず、$s, t$ をそれぞれ $a, b$ を用いて表す。
$(a, f(a))$ と $(a, -a\tan\theta)$ の距離は $|f(a) + a\tan\theta|$ であり、$(a, f(a))$ とここから $l$ に引いた垂線の足である $(s\cos\theta, -s\sin\theta)$ の距離は $\sqrt{(a-s\cos\theta)^2 + (f(a) + s\sin\theta)^2}$ である。 また、$(a, f(a))$ と $(a, -a\tan\theta)$ を通る直線と、$(a, f(a))$ から $l$ に引いた垂線のなす角度は $\theta$ である。よって \begin{eqnarray*} |f(a) + a\tan\theta|\cos\theta &=& \sqrt{(a-s\cos\theta)^2 + (f(a) + s\sin\theta)^2} \\ (f(a) + a\tan\theta)^2 \cos^2 \theta &=& (a - s\cos\theta)^2 + (f(a) + s\sin\theta)^2 \end{eqnarray*} これを整理すると \begin{equation} s^2 - 2(a\cos\theta - f(a)\sin\theta)s + a^2 + f(a)^2 - (f(a)\cos\theta + a\sin\theta)^2 = 0 \end{equation} であり、 \begin{eqnarray*} && a^2 + f(a)^2 - (f(a)\cos\theta + a\sin\theta)^2 \\ &=& (1- \sin^2 \theta)a^2 - 2af(a)\sin\theta\cos\theta + (1 - \cos^2 \theta)f(a)^2 \\ &=& \cos^2 \theta a^2 - 2af(a)\sin\theta\cos\theta + \sin^2 \theta f(a)^2 \\ &=& (a\cos\theta - f(a)\sin\theta)^2 \end{eqnarray*} なので \[ s = a\cos\theta - f(a)\sin\theta = R_{\theta}(a) \] である。よって、 \[ a = R^{-1}_{\theta} (s) \] である。また、$s$ と $a$ の関係と $t$ と $b$ の関係は同じであるので \[ b = R^{-1}_{\theta} (t) \]

これで一番面倒だと思われる第一段階クリアです。
次は、積分値を求めます。

まず、$\Delta A, \Delta B$ について考える。
$\Delta A$ の直角三角形において、斜辺の長さは $|f(a) + a\tan\theta|$ であり、直角三角形の面積は、 \[ \frac{1}{2} \times (斜辺の長さ)^2 \times \sin\theta \cos\theta \] で表されるので \begin{eqnarray*} \Delta A &=& \frac{1}{2} (f(a) + a\tan\theta)^2 \sin\theta \cos\theta \\ &=& \frac{\sin\theta}{2\cos\theta} (f(a)\cos\theta + a\tan\theta\cos\theta)^2 \\ &=& \frac{\tan\theta}{2} (f(a)\cos\theta + a\sin\theta)^2 \end{eqnarray*} である。これより \begin{eqnarray*} s^2 + \frac{2}{\tan\theta}\Delta A &=& (a\cos\theta - f(a)\sin\theta)^2 + (f(a)\cos\theta + a\sin\theta)^2 \\ &=& a^2 + f(a)^2 \end{eqnarray*} であるから、これを変形して \begin{equation} \Delta A = \frac{\tan\theta}{2}(a^2 + f(a)^2 - s^2) \end{equation} を得る。$s, a, \Delta A$ の関係と、$t, b, \Delta B$ の関係は同じであるので \begin{equation} \Delta B = \frac{\tan\theta}{2}(b^2 + f(b)^2 - t^2) \end{equation} である。また、グラフから以下の事が分かる。 \[ \int_{s}^{t} f_{\theta}(x)dx = \int_{a}^{b} (f(x) + xtan\theta)dx + \Delta A - \Delta B \] これを変形して積分値を求める。 \begin{eqnarray*} && \int_{s}^{t} f_{\theta}(x)dx \\ &=& \int_{a}^{b} (f(x) + x\tan\theta)dx + \Delta A - \Delta B \\ &=& \int_{a}^{b} f(x)dx + \left[\frac{\tan\theta}{2}x^2\right]_{a}^{b} + \frac{\tan\theta}{2} (a^2 +f(a)^2 - s^2 - b^2 -f(b)^2 + t^2) \\ &=& \int_{R^{-1}_{\theta}(s)}^{R^{-1}_{\theta}(t)} f(x)dx + \frac{\tan\theta}{2} (t^2 - f(R^{-1}_{\theta}(t))^2 - (s^2 - f(R^{-1}_{\theta}(s))^2)) \\ &=& \int_{x=s}^{t} f(R^{-1}_{\theta}(x))dR^{-1}_{\theta}(x) + \frac{\tan\theta}{2} \left[x^2 - f(R^{-1}_{\theta}(x))^2\right]_s^t \end{eqnarray*} よって、$f_{\theta}(x)$ の不定積分は以下のようになる。 \begin{equation} \int f_{\theta}(x)dx = \int f(R^{-1}_{\theta}(x))dR^{-1}_{\theta}(x) + \frac{\tan\theta}{2}(x^2 - f(R^{-1}_{\theta}(x))^2) + C \end{equation}

ここは、面倒さで言えば最初より劣っていますが、少し閃きが必要でしたので、一番楽しい部分でした。わざわざ不定積分を求めなくても、定積分を$t$で微分すればいいのでは、と思う方もいるかとは思いますが、私はこちらの方がカッコいいと感じたので、この手法を用いました。
最後に微分をして $f_{\theta}(x)$ を求めます。

$f_{\theta}(x)$ の不定積分を $x$ で微分する。 \begin{eqnarray*} f_{\theta}(x) &=& f(R^{-1}_{\theta}(x))\frac{d}{dx}R^{-1}_{\theta}(x) + x\tan\theta - f(R^{-1}_{\theta}(x))f'(R^{-1}_{\theta}(x))\frac{d}{dx} R^{-1}_{\theta(x)}\tan\theta \\ &=& x\tan\theta + \left\{1 - f'(R^{-1}_{\theta}(x))\tan\theta\right\}f(R^{-1}_{\theta}(x))\frac{d}{dx}R^{-1}_{\theta}(x) \\ &=& x\tan\theta + \left\{1 - f'(R^{-1}_{\theta}(x))\tan\theta\right\}f(R^{-1}_{\theta}(x))\frac{1}{R'_{\theta}(R^{-1}_{\theta})} \\ &=& x\tan\theta + \left\{1 - f'(R^{-1}_{\theta}(x))\tan\theta\right\}f(R^{-1}_{\theta}(x))\frac{1}{\cos\theta - f'(R^{-1}_{\theta}(x))\sin\theta} \\ &=& x\tan\theta + \frac{1}{\cos\theta} f(R^{-1}_{\theta}(x)) \end{eqnarray*}

長い仮定を経てたどり着く事が出来ました。改めて解を書いておきます。

\begin{equation} f_{\theta}(x) = x\tan\theta + \frac{f(R^{-1}_{\theta}(x))}{\cos\theta} \end{equation}

これにより、$y=x^2$ を $\frac{\pi}{6}$ だけ回転したグラフは以下の通りです。

(紫は元の関数、緑は回転後)
媒介変数表示の時と完全に一致している事が分かります。

解が2つも存在する真実

さらに効率化を図る時、以下の変形を試みます。

求めた結果を用いると \begin{equation} \begin{cases} f_{\theta}(x) = R_{\theta}^{-1}(x)\sin\theta + f(R_{\theta}^{-1}(x))\cos\theta \\ \cos^2\theta f_{\theta}(x) = x\sin\theta\cos\theta+ f(R^{-1}_{\theta})\cos\theta \end{cases} \end{equation} であるので、これらの差をとり、 \[ (1 - \cos^2\theta) f_{\theta}(x) = (R_{\theta}^{-1}(x) - x\cos\theta)\sin\theta \] これを整理すると、 \begin{equation} f_{\theta}(x) = \frac{R_{\theta}^{-1}(x) - x\cos\theta}{\sin\theta} \end{equation} である。

さて、私はここで今までの努力が無駄であったことに気付きました。
$\theta$ の符号を逆にした時、逆回転、すなわち元に戻る事になるため、$f_{\theta}(x)$ を逆回転すれば良いという話です。つまり、当たり前の式を組み合わせる事により出来た式というわけです。
しかしながら、今回の式変形では、逆回転を考えていません。よって、一応次の証明となりました。 \[ R_{-\theta}(x) = R_{\theta}^{-1}(x) \] 以上がグラフの回転についてでした。
それでは、お疲れさまでした。

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