[分からない人向け] logの定義・性質 +おまけ

更新日時:2020/07/05

分からない人向け対数関数テイラー展開

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基本事項

プロローグ

どうも、安田です。
今回は分からない人向けの解説をします。というのも、最近少しこの $\log(x)$ の定義辺りの質問が多く飛んでくるため、この記事を書くこととしました。

$\log_a(x)$ の定義

まずは定義を示さなければ話を進めるにあたって支障をきたす場合があるため、ここから振り返ります。

\begin{equation} a^{f(a, x)} = x \end{equation} となるような関数$f(a, x)$を、 \begin{equation} f(a, x) = \log_a(x) \end{equation} と定義する。
(この時の$a$ を底,$x$ を真数と言う)

一番重要かつ初歩的な部分とは思いますが、私の周りでは、微積などを扱っているうちに$\log$がどんな関数かという事を忘れたという方が多々いたようです。
特に数学内での$\log(x)$、すなわち自然対数の場合の底を省いた形が、より混乱を招くようでした。

また、数学では特に底$a = e$(eはネイピア数)の時、底を省いて表し、これを自然対数と言います。

ネイピア数の定義: \begin{eqnarray} e &=& \lim_{h \to 0} \left(1 + h\right)^{\frac{1}{h}} \\ &=& \lim_{h \to \infty} \left(1 + \frac{1}{h} \right)^h \end{eqnarray}
自然対数の定義: \begin{equation} \log(x) = \log_e(x) \ \ (=\ln(x)) \end{equation}

補足:$a = e$ の時の意味と導出

なぜ $e$ が特別扱いされるかという事はおおよそどの地域の授業でも習うとは思います。
そこまで重要ではないですが、一応解説を入れておきます。

(1)$a^x$ からの導出

$a^x$ の微分を考える
\begin{eqnarray*} \frac{d}{dx} a^x &=& \lim_{h \to 0} \frac{a^{x+h} - a^x}{h} \\ &=& \lim_{h \to 0} a^x \frac{a^h - 1}{h} \\ \end{eqnarray*} この時、微分した関数が元の関数と一致するような $a$ を考えると、 \begin{equation} a = \lim_{h \to 0} (1 + h)^{\frac{1}{h}} \end{equation}

これを $a = e$ と人間が定義しました。定義の部分を疑問に思う方もいますが、定義とは人間が定めたものに対して言う事なので、言及しても意味がありません。

(2)$\log_a(x)$ からの導出

$\log_a(x)$ の微分を考える。
\begin{eqnarray*} \frac{d}{dx} \log_a(x) &=& \lim_{h \to 0} \frac{\log_a(x+h) - \log_a(x)}{h} \\ &=& \lim_{h \to 0} \frac{1}{h} \log_a \left( \frac{x+h}{x} \right) \\ &=& \lim_{h \to 0} \frac{1}{h} \log_a \left( 1 + \frac{h}{x} \right) \end{eqnarray*} ここで、$t = \frac{h}{x}$ とすると、$t \to 0$ であるので、 \begin{eqnarray*} \frac{d}{dx} \log_a(x) &=& \lim_{t \to 0} \frac{1}{tx} \log_a (1 + t) \\ &=& \lim_{t \to 0} \frac{1}{x} \log_a (1+t)^{\frac{1}{t}} \end{eqnarray*} ここで、これが $\frac{1}{x}$ と一致するような$a$を考えると、 \begin{equation} a = \lim_{t \to 0} (1+t)^{\frac{1}{t}} \end{equation}

(1)の方法と同様の値になりました。

$\log_a(x)$ の性質

今回示す性質の証明においては、指数法則が成り立つものとして記述していきます。指数法則が分からないという方は、失礼かもしれませんが、勉強不足ですので少し基礎からやり直すべきだと思います。

$\log_a(x)$ の性質一覧 \begin{eqnarray*} &&(1) p\log_a(x) = \log_a(x^p) \\ &&(2) \log_a(b) \log_b (c) = \log_a(c) \\ &&(3) \log_a(xy) = \log_a(x) + \log_a(y) \\ &&(4) \log_a(x) = \frac{\log_b(x)}{\log_b(a)} \\ &&(5) \frac{d}{dx} \log_a(x) = \frac{1}{x\log(a)} \end{eqnarray*}

以上の事さえ理解していればおおよその問題は解けます。また、$\log_a(x)$については、性質を調べやすいため完全に覚えておく必要はありません。
また、証明は以下の通りです。

上記性質の証明一覧
(1)の証明
\begin{eqnarray*} a^{p \log_a(x)} &=& x^p \\ &=& a^{\log_a(x^p)} \end{eqnarray*} よって、$p\log_a(x) = \log_a(x^p)$

(2)の証明
\begin{eqnarray*} \log_a(b) \log_b(c) &=& \log_a(b^{\log_b(c)}) \\ &=& \log_a(c) \end{eqnarray*} よって、$\log_a(b) \log_b (c) = \log_a(c)$

(3)の証明
\begin{eqnarray*} a^{\log_a(xy)} &=& xy \\ &=& a^{\log_a(x)} \times a^{\log_a(y)} \\ &=& a^{\log_a(x) + \log_a(y)} \end{eqnarray*} よって、$\log_a(xy) = \log_a(x) + \log_a(y)$

(4)の証明
\begin{eqnarray*} b^{\log_b(x)} &=& x \\ &=& a^{\log_a(x)} \\ &=& b^{\log_b(a) \times \log_a(x)} \end{eqnarray*} よって、$\log_b(x) = \log_b(a) \times \log_a(x)$ すなわち \[ \log_a(x) = \frac{\log_b(x)}{\log_b(a)} \]
(5)の証明
\begin{equation} \frac{d}{dx} \log_a(x) = \frac{d}{dx} \frac{\log(x)}{\log(a)} \end{equation} $\log(a)$ は定数であるので \begin{eqnarray*} \frac{d}{dx} \log_a(x) &=& \frac{1}{\log(a)} \frac{d}{dx}\log(x) \\ &=& \frac{1}{x\log(a)} \end{eqnarray*}

赤字で示した箇所は質問が多かったので敢えて書きました。
$a$ が $x$ の関数でない場合、$f(a)$ も $x$ の関数ではないという事は当たり前ですが、特殊関数となるとこれもまた混乱する事があるようです。

応用事項

応用事項は $a = e$ についての事のみ示します。そうでない場合も知りたい場合は、困難な点は全くないので自らの手で変形をしてください。また、個人的に載せたかったものですので、ほとんど重要ではありません。

$\log(x)$ のテイラー展開

テイラー展開をする時では私はマクローリン展開ばかり扱ってしまいますが、$\log(x)$ でそれは不可能ですので $x = p$ 周りでテイラー展開します。これは収束半径の記事でも書きましたが、こちらにも書きます。

$\log(x)$ の $x=p$ まわりでのテイラー展開を考える。 \begin{equation} \frac{d^n}{dx^n} \log(x) = \frac{(-1)^{n+1}}{n!x^n} \end{equation} よって、 \begin{equation} \log(x) = \log(p) + \sum_{n=1}^{\infty} \frac{(-1)^{n+1}}{n p^n} (x - p)^n \end{equation} また、収束範囲は $r = p$ であるので、 $ 0 < x < 2p$ で成り立つ。

使えるのは、せいぜい$p=1$の時程度でしょうか。

収束半径拡張版

こちらも以前の記事で示したものです。

\begin{eqnarray*} \log(x) - \log(p) &=& - \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n} \left( 1 - \frac{x}{p} \right)^n \\ \log\left( \frac{p}{x} \right) &=& \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n} \left( 1 - \frac{x}{p} \right)^n \end{eqnarray*} ここで、$s = \frac{p}{x}$ とすると、$ \frac{1}{2} \lt s$ であり、 \begin{equation} \log(s) = \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n} \left( 1 - \frac{1}{s} \right)^n \end{equation}

収束半径が広いため、一つの関数として扱う事ができます。

手計算の精度の向上方法

高精度の展開された表示は、グラフ描画ソフトの発達によって非常に楽になりました。以下のやり方を用いて手計算での精度が高い関数を作成する事が出来ます。

\begin{equation} f(x, m) = \sum_{n=1}^{m} \frac{1}{n} \left( 1 - \frac{1}{s} \right)^n \end{equation} とする。$m \to \infty$ で $f(x, m) \to \log(x)$である。
$m \to \infty$ で $\log(x)$ と一致すればよいという考え方の下、以下の計算をする。下記の計算で $n$ をずらしてもシグマの範囲を「$m$ まで」と変えないのは、そのためである。(ただしニアリーイコールを用いる) \begin{eqnarray*} f(x, m) - \frac{1}{1 - \frac{1}{x}}f(x,m) &=& \sum_{n=1}^{m} \frac{1}{n}\left(1 - \frac{1}{s} \right)^n - \sum_{n=1}^{m} \frac{1}{n}\left(1 - \frac{1}{s} \right)^{n-1} \\ -\frac{1}{x - 1} f(x,m) &\simeq& \sum_{n=1}^{m} \frac{1}{n}\left(1 - \frac{1}{s} \right)^n - \sum_{n=1}^{m} \frac{1}{n+1}\left(1 - \frac{1}{s} \right)^n - 1 \\ -\frac{1}{x - 1} f(x,m) &\simeq& -1 + \sum_{n=1}^{m} \frac{1}{n(n+1)} \left(1 - \frac{1}{x} \right)^n \\ f(x,m) &\simeq& (x - 1)\left(1 - \sum_{n=1}^{m} \frac{1}{n(n+1)} \left(1 - \frac{1}{x} \right)^n \right) \end{eqnarray*} そして、これを \begin{equation} g(x,m) = (x - 1) \left( 1 - \sum_{n=1}^{m} \frac{1}{n(n+1)} \left( 1 - \frac{1}{x} \right)^n \right) \end{equation} とする。

以上で高精度化の基となる関数$f, g$が完成しました。
$f$ は当たり前ですが下から収束していき $g$ は上から収束していくため、これらの組み合わせにより収束が早いものを作る事が出来ます。これは、$m$ の範囲の変化を無視した事によって生じた違いです。
あとはグラフを見ながら少しずつ調整していく作業を自分で試行してみると、さまざまな特徴を持ったものができます。
例を提示します。

$x$ が小さい場合高精度となるもの: \begin{equation} h(x, m) = \frac{f(x,m) + g(x,m)}{2} \end{equation} $x$ が大きい場合高精度となるもの: \begin{eqnarray*} i(x,m) &=& \frac{f(x,m) + h(x, m)}{2} \\ &=& \frac{3f(x,m) + h(x, m)}{4} \end{eqnarray*}

もちろん、これらは$m \to \infty$ で $\log(x)$ へと収束します。
上に示したもの以外にも、分母を多項式などにしても面白くなるかもしれませんね。
それでは、お疲れさまでした。

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この記事には3件のコメントがあります。

補足です。
当たり前ですが、
\[
a^{\log_a(x)}= x
\]
が成り立ちます。(定義です。)
[分からない人向け] logの定義・性質 +おまけ|Mathlize
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[分からない人向け] logの定義・性質 +おまけ|Mathlize
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