【数列】数列Yとの闘い p2【シリーズ記事】

更新日時:2020/04/30

数学数列数列Yシリーズ記事

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プロローグ

どうも、安田です。今回は数列$\{Y_n\}$の続きです。

この記事はシリーズ記事です。是非p1からご覧ください。
この記事の前回記事(このシリーズの最初の記事)

問題:数列$\{Y_n\}$

このシリーズでの最終目的は、以下の数列の一般項を求める事です。性質などの発見もサブの目的として取り扱っていきます。

数列$\{Y_n\}$を以下と定義する。 \begin{equation} \begin{cases} Y_1 = 2 \\ Y_{n+1} = Y_n + \frac{1}{Y_n} \end{cases} \end{equation}

考察

分数化

分数化という事ですが、前回の記事で提示した値に基づく考察です。

\[ \{Y_n\}:2, \frac{5}{2}, \frac{29}{10}, \frac{941}{290}, \frac{969581}{272890} \]

これがこの数列の第5項までの値ですが、次項の分母と前項の分子分母が関係している事は分かるでしょうか。
(分子) $\times$ (分母) $=$ (次項の分母) という関係があるように見えます。まぁ漸化式から分かってたという方もいるかと思いますが、結構私はこのような値からの考察で気づく事が多いので、値というクッションを挟みました。
それはそうと、実際分数で表して、漸化式から証明してみます。これからは分数への変形を多用する可能性がありますので、定義として以下の式を提示しておきます。

$\{Y_n\}$を以下のように変形する。 \begin{equation} \begin{cases} Y_n = \frac{q_n}{p_n} \\ p_1 = 1 \\ q_1 = 2 \end{cases} \end{equation}

これをこのシリーズでの数列$\{p_n\}, \{q_n\}$の定義とします。

この定義で漸化式を計算していきます。

漸化式より、 \begin{eqnarray*} \frac{q_{n+1}}{p_{n+1}} &=& \frac{q_n}{p_n} + \frac{p_n}{q_n} \\ \frac{q_{n+1}}{p_{n+1}} &=& \frac{(p_n)^2 + (q_n)^2}{p_n q_n} \end{eqnarray*} 約分しないものと定義すると、 \begin{eqnarray*} \begin{cases} p_{n+1} = p_n q_n \\ q_{n+1} = (p_n)^2 + (q_n)^2 \end{cases} \end{eqnarray*}

2次式的な漸化式が出てきました。私はこの式を見た時、因数分解によって簡単な漸化式に変形できるのではないかと期待しました。
どういう事かというと、以下の通りです。少し一般化した形で示します。
※区別をするため、下の式では小文字の$p, q$ではなく、大文字の$P, Q$を使います。

\begin{equation} \begin{cases} P_{n+1} = aP_n Q_n \\ Q_{n+1} = b(P_n)^2 + c(Q_n)^2 \end{cases} \end{equation} とする。この時、 \[ sP_{n+1} + tQ_{n+1} = u(sP_n + tQ_n)^2 \] が成り立つと仮定する。漸化式を代入する。 \begin{eqnarray*} bt(P_n)^2 + asP_n Q_n + ct(Q_n)^2 &=& s^2u(P_n)^2 + 2stuP_n Q_n + t^2u(Q_n)^2 \\ \therefore \begin{cases} (1) \ bt = a^2 \\ (2) \ as = 2stu \\ (3) \ ct = t^2u \end{cases} \end{eqnarray*} ※MathJaxの関係で(1), (2), (3)を式の左側に持ってきています。ご了承ください。
(3)より、$c = tu$であるので、(2)より、$a = 2c$ すなわち $\frac{c}{a} = \frac{1}{2}$ である。

なぜこの式変形をしたのかという疑問が湧く方は、$a=1$の状態で計算すると分かります。
それはともかく、出て欲しく無い結果が出てきました。すなわち、この平方完成の方法で求められるのは、一部だけという事です。

\begin{eqnarray*} \frac{Q_{n+1}}{P_{n+1}} &=& \frac{b(P_n)^2 + c(Q_n)^2}{aP_n Q_n} \frac{Q_{n+1}}{P_{n+1}} &=& \frac{c}{a} \cdot \frac{Q_n}{P_n} + \frac{b}{a} \cdot \frac{P_n}{Q_n} \end{eqnarray*}

上の式から分かる通り、$\frac{c}{a}$は$Y_{n}$の漸化式で言う$Y_n$の係数に当たる部分です。これが$\frac{1}{2}$でないと使えないという事です。

余談:係数が$\frac{1}{2}$の場合

係数が$\frac{1}{2}$の時ならこの方法は成り立つそうなので、せっかくですし計算してみましょう。
下の数列を解いてみます。

\begin{equation} \begin{cases} a_{n+1} = \frac{1}{2} \left( a_n + \frac{1}{a_n} \right) \\ a_1 = 2 \end{cases} \end{equation}

それでは、解法を書いていきます。もちろん、分数化と因数分解の方法を用いて解きます。

数列$\{b_n\}, \{c_n\}$を以下のように定義する。 \begin{eqnarray*} \begin{cases} b_{n+1} = 2b_n c_n \\ c_{n+1} = (b_n)^2 + (c_n)^2 \\ b_1 = 1 \\ c_1 = 2 \end{cases} \end{eqnarray*} この時、 \begin{eqnarray*} \frac{c_{n+1}}{b_{n+1}} &=& \frac{(c_n)^2 + (b_n)^2}{2b_n c_n} \\ &=& \frac{1}{2} \left( \frac{c_n}{b_n} + \frac{1}{\frac{c_n}{b_n}} \right) \end{eqnarray*} であり、$\frac{c_1}{b_1} = 2$である事より、$a_n = \frac{c_n}{b_n}$である。

ここまでで分数化が完了しました。

\begin{eqnarray*} c_{n+1} - b_{n+1} &=& (c_n)^2 - 2 c_n b_n - (b_n)^2 \\ c_{n+1} - b_{n+1} &=& (c_n - b_n)^2 \\ \therefore c_n - b_n &=& (c_1 - b_1)^{2^{n-1}} = 1 \end{eqnarray*} 同様に、 \[ c_n + b_n = (c_1 + b_1)^{2^{n-1}} = 3^{2^{n-1}} \] よって、 \begin{equation} \begin{cases} b_n = \frac{3^{2^{n-1}} - 1}{2} \\ c_n = \frac{3^{2^{n-1}} + 1}{2} \end{cases} \end{equation} \begin{eqnarray*} \therefore a_n &=& \frac{c_n}{b_n} \\ &=& \frac{3^{2^{n-1}} + 1}{3^{2^{n-1}} - 1} \end{eqnarray*}

とてもきれいな形です。この式が$\{Y_n\}$を解く参考になる事を祈ります。

$\{p_n\}, \{q_n\}$の独立

余談に使いすぎましたが、$\{Y_n\}$の話に戻ります。
$\{p_n\}, \{q_n\}$についてですが、漸化式がお互いの数列を巻き込んでいて解を求めて自由に変形できるような状態ではありませんので、それぞれ単体で漸化式を作ります。
まずは$\{p_n\}$です。

\begin{eqnarray*} p_{n+1} &=& p_n q_n \\ q_n &=& \frac{p_{n+1}}{p_n} \end{eqnarray*} より、もう一つの漸化式に代入して \begin{eqnarray*} q_{n+1} &=& (p_n)^2 + (q_n)^2 \\ \frac{p_{n+2}}{p_{n+1}} &=& (p_n)^2 + \left(\frac{p_{n+1}}{p_n}\right)^2 \\ p_{n+2} (p_n)^2 &=& (p_n)^4 p_{n+1} + (p_{n+1})^3 \end{eqnarray*}

一応分数が無い状態に変形しましたが、この三項間漸化式はどういう表し方をすれば特徴を掴みやすくなるか私には分かりませんでしたので、こういう変形を行っただけです。
次は$\{q_n\}$です。

\[ p_{n+1} = p_n q_n \] より \begin{eqnarray*} p_{n+1} &=& p_1 \prod_{k=1}^{n}q_k \\ &=& \prod_{k=1}^{n}q_k \end{eqnarray*} もう一つの漸化式に代入して \begin{eqnarray*} q_{n+2} &=& (q_{n+1})^2 + (p_{n+1})^2 \\ q_{n+2} &=& (q_{n+1})^2 + \left(\prod_{k=1}^{n}q_k \right)^2 \\ q_{n+2} &=& (q_{n+1})^2 + \prod_{k=1}^{n}(q_k)^2 \end{eqnarray*}

この漸化式は、$(q_m)^2$という形のみで次の項が表されるよう変形しました(齟齬が生じないよう、$m$を用いました)。 $q_n = f(n)$のようにおきかえた時に、あらかじめ$(q_n)^2$を計算しておけば漸化式に代入できるからです。こういう思考は大事だと思います。

今回は、余談もあって長めの記事になりました。続きは次回にしたいと思います。
それでは、お疲れさまでした。

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※次回記事は投稿され次第、記事が表示されます。

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