【数列】数列Yとの闘い p3【シリーズ記事】

更新日時:2020/06/27

数学数列数列Yシリーズ記事

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プロローグ

どうも、安田です。今回は数列$\{Y_n\}$の続きです。

この記事はシリーズ記事です。是非p1からご覧ください。
この記事の前回記事

問題:数列$\{Y_n\}$

このシリーズでの最終目的は、以下の数列の一般項を求める事です。性質などの発見もサブの目的として取り扱っていきます。

数列$\{Y_n\}$を以下と定義する。 \begin{equation} \begin{cases} Y_1 = 2 \\ Y_{n+1} = Y_n + \frac{1}{Y_n} \end{cases} \end{equation}

考察

数列$\{q_n\}$の分解

前回記事で、$\{p_n\}, \{q_n\}$の漸化式を導出しました。今回はこの漸化式を解くことを考えます。

\[ p_{n+2} = p_{n+1}p_n^2 + \frac{p_{n+1}^3}{p_n^2} \] \[ q_{n+2} = q_{n+1}^2 + \prod_{k=1}^{n} q_k^2 \]

$\{p_n\}$ の漸化式は前項を分母に含むので、あまり簡単な式になりそうにないですね。 それに比べて$\{q_n\}$の漸化式は、$x = q_1$ とすると、$q_n$は$x$の多項式で表される事が分かるので、その係数を考える事で求まりそうに見えます。
そういうわけで、今回は$\{q_n\}$を求める事とします。

まずは$\{x = q_1\}$として$x$の多項式を係数毎に分解します。傾向を見るために$\{q_n\}$を$x$を用いて表します。

\[ \{q_n\} : x, x^2 + 1, x^4 + 3x^2 + 1, x^8 + 7x^6 + 10x^4 + 7x^2 + 1, \cdots \]

この結果から、$q_n$ の最大次数は $2^{n-1}$ であり、第一項を除き、$x$ の奇数乗の項が存在しないという事が予想されます。また、係数が対称的であることも分かります。
奇数乗の事や係数が対象であることの証明も出来ますが、その部分を証明したからといって解決の兆しが見えそうでは無かったので、今回は最大次数の証明をします。

$\{q_n\}$の第$n(\geqq 2)$項の最高次数が$2^{n-1}$であること(これを条件$(\alpha)$とする)を数学的帰納法を用いて証明する。

(A)$n=2$ のとき
$q_n = x^2 + 1$ であることより、最高次数は $2 = 2^{n-1}$ であるので、$(\alpha)$ は成立する。

(B)$2 \leqq n \leqq k$ で成り立つと仮定する。
$n = k + 1$ の場合の漸化式より、
\begin{equation} q_{k+1} = q_k^2 + q_1^2 \sum_{l=2}^{k-1} q_l^2 \end{equation} まず、$q_k^2$ の項に着目する。この項の最高次数は、$2^{k-1} \times 2 = 2^k$ である。
\[ q_1^2 \sum_{l=2}^{k-1} q_l^2 \] の最高次数は、積を成している数の最高次数の和で求まるため、この項の最高次数は \begin{eqnarray*} && 2 + 2\sum_{l=2}^{k-1} 2^{l-1} \\ &=& 2\sum_{l=1}^{k-1} 2^{l-1} \\ &=& 2 \cdot \frac{2^{k-1} - 1}{2 - 1} \\ &=& 2^k - 2 \end{eqnarray*} である。
以上の事より、$n = k+1$ の時も $(\alpha)$ は成立する。

(A)(B)より、$(\alpha)$は常に成立する。

ちなみに、対称性の証明は似たような方法(帰納法)から可能です。

最高次数を求める事が出来たため、この数列を多項式($r(n, k)$)として表す事ができます。係数を新たな2次元数列として定義して $\{q_n\}$ を多項式として表す。

\begin{equation} q_n = \sum_{k=0}^{2^{n-2}} r(n, k)x^{2k} \end{equation}

数列$\{r(n, k)\}$の一般化について

数列$\{r(n, k)\}$の漸化式が$\{q_n\}$に類似した形となる事はおおよそ想像できますが、$k=0, 1$ あたりは、$\{q_n\}$ の多項式表示から分かる通り、簡単な漸化式や一般項を持っている事が予想されるので、$\{q_n\}$ よりは解きやすいと私は感じました。

解くにあたって最初にすべきことは、$q_k^2$を新な多項式として表す事です。 $\{q_n\}$ の漸化式は以前の項の2乗によって表されるからです。
先ほど同様に係数$s(n,k)$を用いて、以下のように$\{q_n\}$を表します。

\begin{equation} q_n^2 = \sum_{k=0}^{2^{n-1}} s(n, k) x^{2k} \tag{1} \end{equation}

一応先に $q_n^2$ を$r(n,k)$ を用いた表示を展開する事により、$s(n, k)$ を $r(n, k)$ で表します。

\begin{eqnarray*} q_n^2 &=& \left( \sum_{k=0}^{2^{n-2}} r(n, k)x^{2k} \right)^2 \\ &=& \sum_{k=0}^{2^{n-2}} \left( \sum_{l=0}^{2^{n-2}} r(n, k)r(n, l) x^{2(k+l)} \right) \\ &=& \sum_{k=0}^{2^{n-1}} x^{2k} \sum_{l=0}^{k} r(n, l)r(k-l) \tag{2} \end{eqnarray*} $(1), (2)$ を比較して、 \begin{equation} s(n, k) = \sum_{l=0}^{k} r(n, l)r(k-1) \end{equation}

次は、$q_1^2\prod_{k=2}^{n-1} q_k^2$ の部分を係数 $t(n, k)$ を用いて以下のように表します。

\begin{equation} q_1^2 \prod_{k=2}^{n-1} q_k^2 = \sum_{k=0}^{2^{n-1} - 1} t(n, k) x^{2k} \end{equation}

同様に $t(n, k)$ を $s(n, k)$ で用いて表します。

\begin{eqnarray*} && q_1^2 \prod_{k=2}^{n-1} q_k^2 \\ & = & x^2 \prod_{k=2}^{n-1} \sum_{l=0}^{2^{k-1}} s(n, k) x^{2l} \\ & = & x^2 \sum_{k=0}^{2^{n-1} - 2} \left( x^{2k} \sum_{all} \prod_{l=1}^{n-2} s(K_l, L_l) \right) \end{eqnarray*} よって、 \begin{equation} t(n, k) = \sum_{all} \prod_{l=1}^{n-2} s(K_l, L_l) \end{equation} ただし、この式は「$(L_l \leqq K_l < n)$ かつ $(\sum L_l = k - 1)$ を満たす全ての場合の総和」を意味する。

そういうわけで、この解法はここで生き止まりました。
どういう事かというと、シグマやプロダクトを用いた簡単な表し方が出来ないという事が分かったため、漸化式を解く事が不可能という事が分かったという事です。 $k$ に値を代入する事で求める事も出来ますが、一般式を求めるにあたっては不十分なため、今回は意味のない事と見なします。

以上の事より、今回の$\{q_n\}$を多項式の係数の数列へと分解するという解法は不可能という事が分かりました。
それでは、お疲れさまでした。

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