【数列】数列Yとの闘い p5:近似的な補間【シリーズ記事】

更新日時:2020/10/18

数学数列数列Yシリーズ記事近似的な補間

GOODされた数:53 回

プロローグ

どうも、安田です。今回は数列$\{Y_n\}$の続きです。

この記事はシリーズ記事です。是非p1からご覧ください。
このシリーズの最初の記事
このシリーズの前回記事

問題:数列$\{Y_n\}$

このシリーズでの最終目的は、以下の数列の一般項を求める事です。性質などの発見もサブの目的として取り扱っていきます。

数列$\{Y_n\}$を以下と定義する。 \begin{equation} \begin{cases} Y_1 = 2 \\ Y_{n+1} = Y_n + \frac{1}{Y_n} \end{cases} \end{equation}

考察

微分近似の誤差の修正

今回は、前回記事の「微分近似」で求めた近似式の精度をより高める事を考えます。

$g(n)$と$Y_n$の誤差を修正するという考え方をしたい所ですが、この場合$Y_n$が式内に含まれる事となりますので、難しいです。 そこで、増加量の誤差を修正するという方法を取ります。まず、以下の式を考えます。

\begin{equation} Y_{n+1} - Y_n - \frac{1}{Y_n} \end{equation}

これは、漸化式から$0$になる事が分かります。これが何故かというと、数列$Y$との誤差を求める対象が数列$Y$、すなわち誤差0の状態だからです。
ここで、これを同様に近似式$g(n)$に作用させます。

近似式$g(n)$の定義(導出は前回記事参照)
\begin{equation} Y_n \simeq g(n) = \sqrt{2n+2} \end{equation} これに対して誤差は \begin{eqnarray*} g(n+1) - g(n) - \frac{1}{g(n)} \end{eqnarray*}

このように増加量の誤差を計算します。
ここで、誤差分を引けば数列$Y$に近づく事に気を付けて、より増加量の誤差が少ない関数$g_2(n)$を求めます。

\begin{eqnarray*} g_2(n) &=& g(n) - \left\{\sum_{k=1}^{n} \left( g(k+1) - g(k) - \frac{1}{g(k)} \right) - \left( g(n+1) - g(n) - \frac{1}{g(n)} \right) \right\} \\ &=& g(n) - \left\{ g(n+1) - g(1) - \sum_{k=1}^{n}\frac{1}{g(k)} - g(n+1) + g(n) + \frac{1}{g(n)} \right\} \\ &=& g(n) - \left( g(n) - g(1) + \frac{1}{g(n)} - \sum_{k=1}^{n}\frac{1}{g(k)} \right) \\ &=& g(1) - \frac{1}{g(n)} + \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{g(k)} \\ &=& 2 -\frac{1}{\sqrt{2n+2}} + \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{\sqrt{2k+2}} \end{eqnarray*}

このように$g_2(n)$が求まりました。誤差の和を引くという方法で計算していますが、$n-1$まで足し合わせる時$n=1$で値が狂わないような処置を取っています。 また、$g(n)$は$n=1$で数列$Y$と一致し、$g_2(n)$では$n=1$から$n=2$への増加量の誤差が修正されたので、$g_2(n)$では$n=2$まで数列$Y$と一致する事が分かります。
さらに、$g(n)$と$g_2(n)$をグラフ的に比較しますと、以下のようになります。
画像を読み込めません。
描画された点が数列Yで、赤色のグラフが$g(n)$で、緑色のグラフが$g_2(n)$です。$g_2(n)$の方が精度が高くなっている事が分かります。 $n=6$で比較すると、$g(6)$と$Y_6$の誤差は$0.1$程度であるのに対して、$g_2(6)$と$Y_6$の誤差は$0.03$程度と、おおよそ3分の1になります。

近似的な補間

先ほどのセクションで示した、誤差の修正をするという操作を繰り返す事により、その試行回数に伴って一致する$n$の最大値が増加していく事が予想できます。(この操作または仕組みを近似的な補間と名付けました。)

近似的な補間 \begin{equation} \begin{cases} g_1(n) = g(n) \\ g_{m+1}(n) = \displaystyle g_m(n) - \left\{\sum_{k=1}^{n} \left( g_m(k+1) - g_m(k) - \frac{1}{g_m(k)} \right) - \left( g_m(n+1) - g_m(n) - \frac{1}{g_m(n)} \right) \right\} \end{cases} \tag{1} \end{equation} すなわち \begin{equation} \begin{cases} g_1(n) = \sqrt{2n+2} \\ g_{m+1}(n) = \displaystyle g_m(1) - \frac{1}{g_m(n)} + \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{g_m(k)} \end{cases} \tag{2} \end{equation} としたとき、 \begin{equation} Y_n = g_m(n) \ \ (n \leqq m) \end{equation} また、 \begin{equation} Y_n = \lim_{m \to \infty} g_m(n) \end{equation}

証明は以下の通りです。

証明 \begin{equation} Y_n = g_m(n) \end{equation} が少なくとも成り立つ範囲を \[ n \leqq N_m \] とする。
$(\alpha) n \leqq N_m$ の時
v が成り立つので、 \begin{eqnarray*} &&\sum_{k=1}^{n} \left( g_m(k+1) - g_m(k) - \frac{1}{g_m(k)} \right) \\ &=&\sum_{k=1}^{n-1} \left( Y_{k+1} - Y_k - \frac{1}{Y_k} \right) + g_m(n+1) - g_m(n) - \frac{1}{g_m(n)} \\ &=& g_m{n+1} - g_m(n) - \frac{1}{g_m(n)} \end{eqnarray*} よって、 \begin{equation} \sum_{k=1}^{n} \left( g_m(k+1) - g_m(k) - \frac{1}{g_m(k)} \right) - \left(g_m(n+1) - g_m(n) - \frac{1}{g_m(n)}\right) = 0 \end{equation} これを$g_m$の漸化式に代入すると、 \begin{equation} g_{m+1}(n) = g_m(n) = Y_n \end{equation} $(\beta)n = N_m + 1$ の時
\[ g_m(k) = Y_k \ \ (k \leqq n-1) \] が成り立つので、 \begin{eqnarray*} &&\sum_{k=1}^{n} \left( g_m(k+1) - g_m(k) - \frac{1}{g_m(k)} \right) \\ &=&\sum_{k=1}^{n-1} \left( Y_{k+1} - Y_k - \frac{1}{Y_k} \right) - Y_n + g_m(n) + g_m(n+1) - g_m(n) - \frac{1}{g_m(n)} \\ &=& g_m{n+1} - \frac{1}{g_m(n)} - Y_n \end{eqnarray*} よって、 \begin{equation} \sum_{k=1}^{n} \left( g_m(k+1) - g_m(k) - \frac{1}{g_m(k)} \right) - \left(g_m(n+1) - g_m(n) - \frac{1}{g_m(n)}\right) = g_m(n) - Y_n \end{equation} これを$g_m$の漸化式に代入して、 \begin{eqnarray*} g_{m+1}(n) &=& g_m(n) - (g_m(n) - Y_n) \\ g_{m+1}(n) &=& Y_n \end{eqnarray*}

$(\alpha)(\beta)$から \begin{equation} N_{m+1} = N_m + 1 \end{equation} また、$Y_1 = g_1(1)$から$N_1 = 1$なので \begin{equation} N_m = m \end{equation} よって、 \begin{equation} Y_n = g_m(n) \ \ (n \leqq m) \end{equation} が成り立つ。

このように証明できます。
また、近似的な補間では、増加量の誤差を修正するという方法を取っているため、$n \leqq m$ で一致するだけではなく、$n > m$ では近似していきいます
以上が近似的な補間でした。無限回の計算によって数列の解を導く事ができるというのは、非常に面白いですね。
それでは、お疲れ様でした。

数列Yシリーズ

数列Yシリーズ一覧
この記事の前回記事
この記事の次回記事

※次回記事は投稿され次第、記事が表示されます。

この記事いいね!


コメント送信フォームまで飛ぶ

この記事には1件のコメントがあります。

【数列】数列Yとの闘い p5:近似的な補間【シリーズ記事】|Mathlize
odrdkbofvc
[url=]uodrdkbofvc[/url]
">aodrdkbofvc


変換


※上の変換器は、TeXが正しいかどうかの確認に使ってください。
※TeXを入力する場合は、コメント本文に、$\$$ または、$\verb|\|$[, $\verb|\|$]で囲った中にTeX表示をそのまま挿入してください。
※URLは、自動的にハイパーリンクに変形されます。
※他のコメントに返信する場合は、「#コメント番号」を挿入してください。
※日本語を含まないコメントはスパムと認定されます。
※Comment including no japanese will be regarded as spam.