【数列】数列Yとの闘い p6:無限級数について【シリーズ記事】

更新日時:2021/04/20

数学数列数列Yシリーズ記事和分差分学

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プロローグ

どうも、安田です。今回は数列$\{Y_n\}$の続きです。

この記事はシリーズ記事です。是非p1からご覧ください。
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問題:数列$\{Y_n\}$

このシリーズでの最終目的は、以下の数列の一般項を求める事です。性質などの発見もサブの目的として取り扱っていきます。

数列$\{Y_n\}$を以下と定義する。 \begin{equation} \begin{cases} Y_1 = 2 \\ Y_{n+1} = Y_n + \frac{1}{Y_n} \end{cases} \end{equation}

考察

今回は趣向を変えて、$Y_n$ を含む無限級数についての議論をしていきたいと思います。

今回議論するのは以下の無限級数です。

\begin{equation} f(x) = \sum_{n=1}^{\infty} \frac{Y_n}{x^n} \end{equation} ただし $ x \neq 0 $

無限級数の関係式の導出

ここでは、$f(x)$ に漸化式を適応することで、$f(x)$ を変形します。

\begin{eqnarray*} f(x) &=& \sum_{n=1}^{\infty} \frac{Y_n}{x^n} \\ f(x) &=& \frac{Y_1}{x} + \sum_{n=1}^{\infty} \frac{Y_n+\frac{1}{Y_n}}{x^{n+1}} \\ f(x) &=& \frac{Y_1}{x} + \frac{1}{x} \left\{ f(x) + \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{Y_n x^n} \right\} \\ xf(x) &=& Y_1 + f(x) + \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{Y_n x^n} \\ f(x) &=& \frac{1}{x-1}\left\{ Y_1 + \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{Y_n x^n} \right\} \end{eqnarray*}

このように係数を逆数にした場合の級数を用いて表すことができます。ここで、$x=1$は定義されないのですが、 これを発散すると解釈すると、以下のことが言えると考えます。(私はまだ発散収束に関する議論の仕方を知らないため、弱い表現としておきました。間違いがあればご指摘くださると嬉しいです。)

ある実数$\epsilon \in \mathbb{R}$に対し, $f(\epsilon)$が収束することと \begin{equation} \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{Y_n {\epsilon}^n} \end{equation} が収束することは同値である。

このように、不思議な同値変形を課すことができました。

なお、$x=1$が例外とならないのは、 \begin{equation} \sum_{n=1}^{N} \frac{1}{Y_n} = \sum_{n=1}^{N} \Delta Y_n = Y_{N+1} - Y_1 \end{equation} より、$x=1$の場合もどちらの無限級数も発散するということによります。

$\{(Y_n x^n)^{-1}\}$の無限級数

上の議論から、

\begin{equation} g(x) = \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{Y_n x^n} \end{equation}

とおくと便利そうなのでおいておきます。

ここでは和文差分をちょっと使うので、分からない方は こちらの最初の方を参照すると良いです。それでは、$g(\epsilon)$も変形していきます。

\begin{eqnarray*} g(\epsilon) &=& \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{Y_n {\epsilon}^n} \\ g(\epsilon) &=& \sum_{n=1}^{\infty} \frac{\Delta Y_n}{{\epsilon}^n} \\ g(\epsilon) &=& \sum_{n=1}^{\infty} \left\{ \Delta \left(\frac{Y_n}{{\epsilon}^n}\right) - Y_n \Delta \left( \frac{1}{{\epsilon}^n} \right) - \Delta Y_n \Delta \left( \frac{1}{{\epsilon}^n} \right) \right\} \\ g(\epsilon) &\leq& \sum_{n=1}^{\infty} \Delta \left(\frac{Y_n}{{\epsilon}^n}\right) \\ g(\epsilon) &\leq& \lim_{n \to \infty} \left( \frac{Y_n}{{\epsilon}^n} - \frac{Y_1}{\epsilon} \right) \end{eqnarray*}

このような不等式が導き出せました。
これにより、$\frac{Y_n}{{\epsilon}^n}$が収束すれば$f(\epsilon)$も収束するということがわかります。
また、この逆は、「無限級数が収束すれば数列は収束」であり明らかに成立しますので、以下のことがいえます。

ある実数$\epsilon \in \mathbb{R}$に対して、 \[ a_n = \frac{Y_n}{\epsilon^n} \] が収束することとその無限級数が収束することは同値である。

このように同値変形することができました。ただ、これが成立するという事は$\{a_n\}$が$0$以外に収束することはない ということが言えてしまいます。なので、境界部分などの厳密な話は別で議論してみる必要がありそうです

${a_n}$ の収束条件

次は上記の$\{a_n\}$の収束条件を求めていきます。
こちらは、同値変形を発見できませんでしたので、十分条件のみを示す形となります。

まず、わかりやすいように以下のような数列を定義します。

\[ b_n = \frac{1}{Y_n \epsilon^n} \]

これを定義することにより、漸化式を簡単に求めることができます。

$\{a_n\}$ についての漸化式 \begin{equation} a_{n+1} = \frac{1}{\epsilon} \left(a_n + b_n \right) \tag{1} \end{equation} $\{b_n\}$ についての漸化式 \begin{equation} b_{n+1} = \frac{1}{\epsilon} \cdot \frac{a_n b_n}{a_n + b_n} \tag{2} \end{equation} (1)を$b_n$について解き、(2)に代入することによって \begin{equation} \epsilon^2 a_{n+2} = \epsilon a_{n+1} + a_n - \frac{a_n^2}{\epsilon a_{n+1}} \end{equation} である。

ここで、この漸化式を解くことで収束条件となる$\epsilon$を求めることができるのですが、 それは数列$\{Y_n\}$を解くのと同じぐらい難しそうなので不等式を用いて十分条件で議論します
ここで、以下のような数列を定義します。

$f_1 = a_1, f_2 = a_2$ を初期条件とし、 \begin{equation} \epsilon^2 f_{n+2} = \epsilon f_{n+1} + f_n \end{equation} とする。

この数列は、帰納的に$a_n \leq f_n$が明らかです。
また、この数列の特性方程式は \[ (\epsilon x)^2 = (\epsilon x) + 1 \] であり、黄金比を$\phi$、$\overline{\phi}$を$\phi + \overline{\phi} = 1$で定めると、 \[ x = \frac{\phi}{\epsilon}, \frac{\overline{\phi}}{\epsilon} \] となります。ゆえに、ある定数$C_1, C_2$が存在して、 \[ f_n = C_1 \left(\frac{\phi}{\epsilon}\right)^{n-1} + C_2 \left(\frac{\overline{\phi}}{\epsilon} \right)^{n-1} \] と表せます。ここで、$|\overline{\phi}| \leq |\phi|$ なので、$f_n$の収束条件は \begin{equation} \frac{\phi}{\epsilon} \leq 1 \ \ \ \therefore \epsilon \geq \phi \end{equation} となります。よってこの場合$\{a_n\}$も収束します。

これより、本記事の結論は以下のようになります。

\[ f(x) = \sum_{n=1}^{\infty} \frac{Y_n}{x^n} \] とした時、$\epsilon \geq \frac{1+\sqrt{5}}{2}$ ならば $f(\epsilon)$は収束する。

まだ不備はありますが、綺麗な結論が導き出せました。これは明らかに境界部ではないので、おそらく同値変形の時の例外には当たらないと考えています。
今回は以上とします。お疲れ様でした。

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