前回の振り返り

今回の記事もPART 7の続きなので、その結論を提示します。

今回はこれの系として調和級数の発散が導かれることを発見したため、それを紹介しようと思います。(系とは、元の命題からただちに導かれる命題のことを指します。)

また調和級数が発散するというのは以下の級数が発散することを指します。 \[ \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n} \]

和分差分の復習

和分差分学の知識が必要なため、振り返ります(和分差分がなくてもできますが、使った方がスマートなので活用しています)。今回かかれることはこの記事に少し詳しく載っているので、証明などが知りたい方はこちらからお願いします。

まずは定義から載せておきます。

これに対して、次のような等式が成り立ちます。

1つ目の系を1つ導いておきます。$a = b$ とすれば \[ \Delta (a^2) = 2 a\Delta a + (\Delta a)^2 \] ですから、すなわち \[ 2 a \Delta a = \Delta (a^2) - (\Delta a)^2 \] です。

数列$Y$を用いた調和級数発散の証明

まずは、和分差分を使うために数列$Y$を差分方程式として書き直します。 \[ Y \Delta Y = 1 \] これに先ほど導いた等式を使えば \[ \Delta (Y^2) - (\Delta Y)^2 = 2 \] とできるので、この和分を取ることにより、$C$ を定数として \[ Y^2 - \sum (\Delta Y)^2 + C= 2n \] ここで $\Delta Y = \frac{1}{Y}$ であるので、次のことが導けました。

また、$Y_n^2 \gt 2n \gt n$ だから、

ここで、(1)式より、左辺は発散するため、追い出しの原理から調和級数が発散することが導けました。
(正しい表現ではないかもしれませんが)調和級数の無限大よりも小さい無限大とは、非常に面白いですね。

今回はここまでです。それでは、お疲れ様でした。