【数学コンクール】立体の四面体分割の場合の数

更新日時:2020/05/23

数学数学コンクール図形場合の数

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参考

プロローグ

どうも、安田です。
今回は、「立体の四面体分割」という少々聞かない事について取り扱おうと思います。これは何かというと、私が数学コンクール論文賞で銀賞を受賞した際の、私の扱ったテーマです。
そうであるならば、その論文の内容をここに記載するのかというと、そうではありません。 記事を読んで下さっている方は知っているわけではありませんが、過去に発表したものを再度記すのは少々ナンセンスだと私は考えます。(もし私が発表したものが見たいという方がいれば個人的にお願いします。)
そういうわけで、その消化不良である載せられなかった分を書きます。

序章:説明と実例

直ぐに本編を見たい方は、「実例」部分を飛ばしてご観覧ください。

説明

それでは、今回の「立体の四面体分割」とは何を表しているかを伝えます。
まず、私が見た問題文を掲載します。

正多角形に対角線を引いて3角形に分割する場合の数は、カタラン数と呼ばれる値になることは知られています。
では、立方体を四面体分割する場合の数はいくつになるでしょうか?立方体以外の多面体についても考えてみてください。

(参考:名古屋大学 - 数学コンクール2019論文募集表_Aol(pdfファイル)

つまり、「立体の線分に沿った面でその立体をすべて四面体になるまで分割する時の場合の数を数えろ」という事です。
しかしながら、私(私たち)はどちらが正しい定義なのかという事を考えた事があったので、それについて載せておきます。

(1)新たな頂点が出来るような分割を可能か?
⇒場合の数が無限となるため不可能
(2)分割する面同士は交わっていいのか?
⇒違う定義としてどちらでもいい(教授から確認済み)

(2)に関して、交わってよいという定義を(a), 交わってはいけないという定義を(b)としておきます。
実際は(a)で解く場合は分ける必要は無いのですが、私の場合は脳内整理がしやすいので分けて解いています。
すこし深堀をします。

定義の深堀

方体の内部を通る対角線(図を参照)に分割面を構成する線分が入っている場合を考える。
画像を読み込めません
※立方体に限らない。
立体の分割面を構成する線分は必ず複数の分割面を構成している。また、2つの分割面が四面体を構成する面となる場合、その2つの分割面は必ず180度未満の角を成す必要がある。
ゆえに、必ず分割面は交わる。すなわち、分割面を構成する線分が立体の内部を通る場合(a)に属する。((b)に属さない)
(b)の場合を考える。
この定義の場合、内部に分割面の線分が無いため、四面体を構成する平面のうち3平面が必ずその分割する前の立体を構成する平面に属する。
※元の立体ではなく、分割する直前の立体です。
画像を読み込めません
この時、その3平面は各平面と隣り合っているため、この3平面に囲まれた頂点は3つの辺を構成する点である。
以降、ある頂点が構成する辺の数を「周りの辺の数」と呼ぶこととする。
このようにある頂点を残した状態で分割する事を、その頂点に対して「独立」と呼ぶこととする。 (この独立という呼び方は、私の先生が命名しました。カッコイイので使わせていただきます。)
逆に、ある頂点を独立させる場合は、3つの辺のみを構成する頂点でしか可能ではない。
また、(b)の場合は独立のみですべてのパターンを表せるため、独立できない状態となったとき、すなわち全ての頂点の周りの辺が4以上となったとき、(b)での分割は不可能となる。

後に回すと説明しずらいので、先に書きました。
周りの辺の数は、記事を書いている途中で自然と使ってしまいましたので、注釈を入れておきました。
それにしても、証明は当たり前のように思える事も一応書いておかないといけないから大変ですね...。

実例

このセクションは、飛ばしたい人は飛ばしてください。
実例という事で、問題文に載っている立方体の四面体分割について考えます。回転させて一致するのはどうするのかという事ですが、私の場合はカタラン数を意識して回転して一致するものも別物として考える事としました。 すなわち、立方体$ABCD-EFGH$の四面体分割の場合の数を考えるという事です。
また、図は載せすぎるのはウェブサイトの管理者としては少々不都合があるので、説明できるところは出来るだけ文面を選んでいます、ご了承ください。
$(b) \subset (a)$であるので、(b)⇒(a)という順番で解いていきます。

(b)の定義
(b)の場合、内部に分割面の線分が入ることが無い。
$A$を独立させるとする。この時、$B,D,E$の周りの辺の数は4に増える。よって、次に独立させられるのは、$C, F, G, H$である。
ここで$G$を独立させると、残ったすべての点の周りの辺の数が4となってしまうため、(b)で分割不可能である。(b)では分割の順番が関係ないから、$G$を独立させる事は不可能である。
$G$を独立させないように他の点を独立させる、$C, F, H$をすべて独立させられる事が分かる。
背理法的な考え方から、(b)での分割はこの方法しか存在しない事が分かる。よって、(b)での分割はこの方法による$A, C, F, H$の独立もしくは$B, D, E, G$の独立の2通りである。


(a)の定義((b)の定義での範囲を除く)
(b)の定義を除くと、必ず$AG, BH, CE, DF$の1辺が必ず分割面を構成する。2辺以上が分割面を構成する場合、新たな頂点を作ってしまうため不適当。
立方体は対称性を持っているため、$AG$が分割面を構成する線分になる時、すべての分割方法を列挙できる。
$AG$が分割面を構成する線分となる場合を考える。この時、3つの四角錐に分けて考える事が出来る。
画像を読み込めません
(上の図は一例であり、四角錐の底面となる部分を指す)
また、n角錐はどの分割面も必ず底面と接しない頂点を通るため、その四面体分割の場合の数は、n角形を3角形に分割する場合の数であるカタラン数と一致する。
n=4であるので、四角錐の四面体分割の場合の数は \[ \frac{1}{3} {}_4 \mathrm{C}_2 = 2 \] 四角錐は3つあるので、すべての組み合わせの場合の数は、$2^3 = 8$である。
また、図と全て対となる面が四角錐の底面となる場合も考慮すれば、$8 + 8 = 16$である。
$A, G$各点から、正方形の対角線となるように全ての立方体の面に線分を引くような分割が存在するが、これは上図の場合とその対の面が底面となる場合のどちらでも表せる事ができる。すなわち、そこで数えかぶりが起こる。
それを考慮すると、場合の数は$16 - 1 = 15$である。

$AG$だけでなく、他の三辺も含めると、その場合の数は \[ 15 * 4 = 60 \]


以上の事より、(a)の定義で分割可能な場合の数は、$(a) + (b) = 62$となる。

また、この考え方は私と先生と二人で最終的な決定としたものです。必ずしも正しいとは限りません。実際、教授の回答とは異なりましたが、詳しい原因は発見できませんでした。(問題が複雑なので、瞬時に思考方法の欠点は見つけられない。)
この方法の欠点や、新たな解き方を発見したら、是非コメントに残していただけると嬉しいです。

本題:定義(b)の考察

長々と書いてきてやっと本題に入ります。しかしながら、今回は私が提出した論文の副産物のようなものを記述するわけですので、内容は結構少なめです。(長さとしては多めです)
私はもともと、定義(b)で考えていましたので、最初は定義(b)で分割可能なのかどうなのか、という話題が一番でした。 この分割可能かという事を考慮される結果が主となります。

定義(b)において分割可能な図形へと促進させる構造について

1辺を共有する2つの3角形によってつくられる立体的な構造を考える。加えてこの構造を持ち、その共有された辺のうちの一方の頂点の周りの辺の数が3であるような立体を考える。 (つまり、共有された辺の一方の頂点には辺が追加されないような立体)
画像を読み込めません
周りの辺の数が3であるこの頂点を独立させる事を考える。
この時、この構造の共有された辺のもう一方の頂点は周りの辺の数が必ず1減少し、共有されてない2頂点の周りの辺の数は増加しない。 よって、この構造を含む図形は定義(b)における分割可能になりやすい。

上記の構造を持たない図形について

上記の構造以外の構造は、分割可能かどうかに対して比較的保守的もしくは抑制的な性質を持つ。そこで、上記の構造を持たない図形の分割について考える。
上記の構造を持たない、面が$n$個の立体を立体Aとする。この時、すべての面に1~$n$の番号を割り当てる。 番号が$k$である面の頂点の数を$A_k$、周りの辺の数が3であ頂点の数を$B_k$、独立させる場合の数を$p_k$とする。
この時、四面体分割の場合の数$P$は、 \[ P \leqq \prod_{k=1}^{n} p_k \] である。
ここで、$p_k$の値について考える。
ある点を独立させる時、独立させる頂点が上記の構造の周りの辺の数が3である頂点の場合を除き、他の頂点の周りの辺の数が現象する事はない。
よって、以下の事が言える。ただし、$C_m$はカタラン数である。
\begin{equation} \begin{cases} (1) A_k - B_k = 0 \\ p_k \leqq C_{A_k - 2} \\ (2) A_k - B_k = 1 \\ p_k \leqq 1 \\ (3) A_k - B_k \geqq 2 \\ p_k = 0 \end{cases} \end{equation} これらは以下のように言い換える事が出来る。
\begin{equation} \begin{cases} (4)A_k - B_k \leqq 1 \\ p_k \leqq (1 - A_k + B_k)C_{A_k - 2} + A_k - B_k \\ (5)A_k - B_k \geqq 2 \\ p_k = 0 \end{cases} \end{equation} こうなる理由は以下の通りである。
(1)の場合は、独立の場合の数の最大値が、$A_k$角形の3角形分割の場合の数と一致するから。 (2)の場合は、周りの辺の数が4以上である頂点は必ず独立出来ないため、その頂点が独立のための分割面を構成する線分に属する分割方法しか存在しないから。 (3)の場合は、独立しない頂点は必ず1つまでしか存在できないから。
しかし、他の面が3,4角形と円から遠い図形である場合、それが他の面に干渉する可能性があるため、例外の存在を否定しきれない。
ここで、上記の構造が分割途中で生成される事を考える。
そのためには、まず周りの辺の数が3である頂点を持つ3角形を含む構造が必要である。
画像を読み込めません
上図の周りの辺の3の部分を独立させず、隣接する3角形を作るように他の頂点を独立させる必要がある。 $X$近くの辺は省略して描いてあるが、周りの辺の数が$X$である。
$X$は周りの辺の数が4以上である事は確定しているため、独立できない。また、$A, B$を独立させるためには内部に線分が入るため、独立できない。
よって独立のためには$A, B, 3$の3頂点によって構成される面が分割面となる必要がある。しかし、この分割方法では周りの辺の数が3から4へと増加してしまうため、この方法でも独立は不可能となる
ゆえに、新たに上記の(促進させる)構造を生成する事は不可能である。
すなわち、(4)(5)は正しい。

以上の事より、促進させる構造が無い構造の(b)による四面体分割の場合の数は、
\begin{equation} P \leqq \prod_{k = 1}^{n} \left( (1 - A_k + B_k)C_{A_k - 2} + A_k - B_k \right) \end{equation} である。

3角形の面のみで構成された立体について

3角形の面のみで構成された立体では、独立ではなくその逆の方法で構成していく。
まず、3角形の面のみで構成された立体は、ある多面体の全ての面に錐を付加する事ですべて表す事が出来る。
立体の頂点の周りの辺の数は必ず3以上である。これを踏まえて、4角形以上の多角形に錐を付加する事を考える。
画像を読み込めません
錐の頂点以外の頂点の周りの辺の数は必ず4以上になる。また、錐の頂点の周りの辺の数も4以上であるため、ここを独立する事は出来ない。よって、分割不可能となる。
多角形が3角形である場合は、付加されるのが三角錐すなわち四面体であるので、付加した部分をそのまま独立させる事が出来る。
以上の事より、付加する前の図形も3角形の面のみで構成された立体である必要がある。
数学的帰納法的な考え方から、3角形の面のみで構成された立体で定義(b)で分割可能なものは、大量の四面体をそれぞれ隣接させて生成できる図形のみであり、その分割方法は1通りである。

昔考えたものを再び理解しなおして書いたため少々説明が足りてないかもしれませんが、私自信は理解しているつもりなので質問を受ければ答えます。

立体的な構造を脳内でとらえる必要があるため、画像を使いました。読み込みが長かったらすみません。
それでは、お疲れさまでした。

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